2023年5月13日(土)より
シアター・イメージフォーラムほか
全国順次ロードショー
劇場情報
愛知 | シネマスコーレ
※1週間の特別上映です。 ▼舞台挨拶・トーク情報はこちら▼ |
11月11日(土)~17日(金) |
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神奈川 | 横浜シネマリン
※5日間の特別上映です。 ▼舞台挨拶・トーク情報はこちら▼ |
11月20日(月)~24日(金) |
東京 | シアター・イメージフォーラム | 終了 |
兵庫 | 元町映画館 | 終了 |
大阪 | シアターセブン | 終了 |
三重 | 伊勢 進富座 | 終了 |
京都 | 出町座 | 終了 |
広島 | シネマ尾道 | 終了 |
青森 | シネマディクト | 終了 |
大阪 | シネ・ヌーヴォX | 終了 |
北海道 | 函館シネマアイリス | 終了 |
東京 | ポレポレ東中野 | 終了 |
NEWS
10月31日 | |
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9月29日 |
舞台挨拶情報
横浜シネマリン |
追加の登壇者は決まり次第更新いたします。
Introduction
2020年4月7日。新型コロナウイルス対策のため「緊急事態宣言」が発令され、私たちの生活は一変。飲食店など幅広い業種に休業要請があり、様々なイべントも中止となった。
4月22日。映画監督・三島有紀子の誕生日である朝4時。どこからか女の人の泣き声が聞こえてきた。その時、想った。
「このコロナ禍で何を感じているのかが忘れられる前に、映像に残し、記録として確認しよう」
20名の役者たちが、実際に体験したことを元に、各自撮影した映像を三島が組み上げて作った〈シネマヴェリテ〉(カメラ=インタビュアーが撮影対象に積極的に関わることで真実の姿を引き出す作品)。 NHK在籍時ドキュメンタリーを手がけた彼女にとって初のドキュメンタリー映画となる。
「泣き声」を出演者すべての共通の出来事として描いた。「声」を聴いて、感情の動きや反応が記録された。コロナ禍で過ごした日常がつぶさに切り取られた、これは重要な作品である。泣き声は、女優の松本まりかによるもの。
予告編
【同時上映】
『IMPERIAL 大阪堂島出入橋』
アメリカ・ハリウッドの
映画祭上映決定!
三島有紀子監督『東京組曲2020』との同時上映で公開されている傑作短編映画『インペリアル大阪堂島出入橋』(英語題 I, Jiro Kawakami of the IMPERIAL)が、このほど、アメリカハリウッドのグローバル・ステージ・ハリウッド映画祭にてインターナショナル・プレミア上映が決定しました。10月7日、8日開催される日本のショートフィルム部門での上映で、ロサンゼルス、ハリウッドを代表するチャイニーズシアターで上映される。『MIRRORLIAR FILMS Season2』のトリを飾る作品として組まれていた本作。名優佐藤浩市が主演した異例の短編作品としても注目を集めていたが、この度、単独での米映画祭での上映が決定した。
グローバル・ステージ・ハリウッド映画祭は、ワーナー・ブラザース元エグゼクティヴのダグラス・モンゴメリーが主宰する2022年に始まった新しい映画祭である。
三島監督からのコメント
18歳の時、映画の国ハリウッドで手にした『風と共に去りぬ』の英語脚本を握りしめてチャイニーズシアターに行きました。いつか、自分達の作った映画が上映される日が来たらいいななんて笑って話していたら、2023年の10月7日に『インペリアル大阪堂島出入橋』が上映されると聞いて、とても光栄ですし、映画祭とモンゴメリーさんに心から感謝しています。そして何より、佐藤浩市さんはじめ、キャストスタッフみなさまがコロナ禍でも映画の力を信じて、ご一緒に作りあげてくださったことに、深く感謝しております。ありがとうございます。
パリとニューヨークで『Red』フランクフルト、ヴェネツィア、モントリオールで『幼な子われらに生まれ』ロンドン、韓国で『繕い裁つ人』など、いろいろな所で上映していただきましたが、ハリウッドは初めてです。できるなら一緒に作り上げたみんなで行って、アメリカでこの映画を観たいです。
脚本・監督 三島有紀子
監督自身の思い出の店である大阪・堂島の洋食レストランの閉店をきっかけに、在りし日の店を”記録“として残そうとした私小説的な一篇。35年間店と共に歴史を積み重ねてきたシェフがデミグラスハンバーグを手に自らの過去を回想。再び光を見いだす一夜を、圧巻の長回しで魅せる傑作短編。
脚本・監督:三島有紀子/主演:佐藤浩市、宮田圭子、下元史朗、和田光沙
2022年/15分
©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT
三島有紀子監督『東京組曲2020』
世界で絶賛!
2020年4月、緊急事態宣言が発出された直後のこと。不要不急と言われたエンタメ界に身を置く20人の俳優たちが、その時何を考えて、何をしたのでしょうか。彼ら自身が撮影した映像を三島監督が紡ぎ上げました。『幼な子われらに生まれ』『Red』などで知られる三島監督による初のドキュメンタリー映画です。
2023年4月27日から5月7日開催されたアジア最大のインディペンデント映画祭、第24回チョンジュ国際映画祭。韓国三大映画祭の一つであり、映画作家の意欲的、実験的な作品を集めた映画祭です。『東京組曲2020』は、この映画祭の〈ワールド・シネマ〉部門で上映されて絶賛されました。この映画祭が世界初上映であり、ワールドプレミアとなりました。
「組曲というタイトルも素敵だけど、”Alone Together”(英語タイトル)を実感する。一人だけど誰かと一緒だと思いたい、だれかと一緒にいたとしても孤独を感じる。この作品でも描かれているコロナ禍での世界中のみんなの孤独な気持ちを表現している言葉だ」「わたしは映画制作スタッフの一人ですが、ステイホームの時でも映画を作る方法があったんだ!と希望に思いました」とのチョンジュでの感想がありました。
現在開催中のカンヌ国際映画祭のマーケットに出品されているほか、他の映画祭での上映の期待も高まっています。
5月13日より東京シアター・イメージフォーラムにて公開中です。
監督
三島有紀子 Yukiko Mishima
大阪市出身。18歳からインディーズ映画を撮り始め、大学卒業後NHKに入局。「NHKスペシャル」「トップランナー」など市井の人々を追う人間ドキュメンタリーを数多く企画・監督。2003年に劇映画を撮るために独立し、東映京都撮影所などで助監督として活動後、09年『刺青 匂ひ月のごとく』で監督デビュー。ヒット作『しあわせのパン』(12)、『ぶどうのなみだ』(14)と、オリジナル脚本・監督で作品を発表、同名小説を上梓した。企画から10年かけた『繕い裁つ人』(15)は、第16回全州国際映画祭で上映され、韓国、台湾でも公開。『幼な子われらに生まれ』(17)では第41回モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞に加え、第41回山路ふみ子賞作品賞、第42回報知映画賞監督賞を受賞し、国内外で好評を博した。その他の代表作に『Red』(20)『少女』(16)、桜木紫乃原作のドラマ『硝子の葦』(WOWOW)など。コロナ禍で描いた作品としてショートフィルム『よろこびのうた Ode to Joy』」(21)や『IMPERIAL大阪堂島出入橋』(22)がある。敬愛する監督は、フランソワ・トリュフォー、神代辰巳。
CREATORS
荒野哲朗 Tetsuro Arano
1979年生まれ、京都府出身。
俳優、モデルとしてTVドラマやCMなどに出演。
主な出演作は、ドラマ「温泉(秘)大作戦9」(10/テレビ朝日)、「ヤバい検事 矢場健」(15/CX)。CMでは、積水ハウス「住まいの参観日~ずっといたくなる家」篇、STNet「夢見るライフライン(仲直り)」篇、ANA(ANAカード入会キャンペーン2019)「夢の旅人」篇など。
池田 良 Ryo Ikeda
1978年生まれ、愛知県出身。
アメリカのステラ・アドラー・スタジオ・オブ・アクティングに2度の留学を経ながら、数々の映画・ドラマ等出演。15年、橋口亮輔監督の話題作『恋人たち』で高い評価を受け、第30回高崎映画祭優秀新進俳優賞受賞。近年の主な出演作は『ミッドナイトスワン』(20)、『花束みたいな恋をした』(21)、『マイスモールランド』(22)、『みんな生きている』(23)など。ほか『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』が公開予定。
大高洋子 Yoko Otaka
1965年生まれ、神奈川県出身。
学生時代から続けてきた演劇を一度離れるが、10年、寺十吾主宰の劇団「tsumazuki no ishi」のオーディションに合格し、再び俳優として活動し始める。20年、『ミセス・ノイズィ』で常軌を逸した騒音を立てる主人公の隣人を演じて話題に。近年の主な出演作は、『親子の河』(21)、『日光物語』(22)など。
長田真英 Masahide Osada
1996年生まれ、神奈川県出身。
2016~19年、ジュノン・スーパーボーイ・アナザーズで活動。その後、俳優として映画、ドラマ、舞台に出演。近年の主な出演作は『息をするように』(21/短編)、『LOVE LIFE』(22)、 『ミラキュラスウィークエンド・エセ』(22 /カナザワ映画祭2022観客賞)。またドラマでは「緊急取調室season4」(21/テレビ朝日)など。
加茂美穂子 Mihoko Kamo
1976年生まれ、福岡県出身。
日本大学芸術学部演劇学科卒、青年座研究所26期卒。2002年、青年座入団。ドラマ、映画、舞台で活躍。主な出演作は、舞台「横濱短篇ホテル」(13)、「ええから加減」(13)、「龍が如く」(15)、映画『体操しようよ』(18)、ドラマ「特捜9 シーズン4」(21/EX)、「元彼の遺言状」(22/CX)、「刑事7人」(22/EX)、「警視庁アウトサイダー」(23/EX)など。
小西貴大 Takahiro Konishi
1993年生まれ、愛知県出身。
主演を務めた『日本製造/メイド・イン・ジャパン』(18)、『家族マニュアル』(19)ほか、多数の映画、ドラマ、CMで活躍中。近年の主な出演作は、ドラマ「スタンドUPスタート」(23/CX)、「ネバー・ギブアップ!~竹島水族館ものがたり~」(23/東海テレビ)、映画『Winny』(23)、『静かなるドン』(23)など。
2023年も多数の出演作が控える。
小松広季 Hiroki Komatsu
1994年生まれ、大阪府出身。
現在フリーランスで活動中。近年の主な出演作に『エッシャー通りの赤いポスト』(20)、『相棒season20』TELASA配信『とりしらべ』(22)、劇団燐光群『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』(22)など。待機作に今秋放送予定のWOWOWドラマなど。自身の主演映画『星、落っこちnight(仮)』を自ら企画し、3月末撮了、今秋の公開を目指す。
佐々木史帆 Shiho Sasaki
1992年生まれ、青森県出身。
19年、「わたし、定時で帰ります。」(TBS)レギュラー出演。ほか、ドラマ、映画を中心に活躍。近年の主な出演作は、NHK夜ドラ「ワタシってサバサバしてるから」(23)、「ブラッシュアップライフ」(23/NTV)、映画では『42-50火光』(22)、『炎上シンデレラ』(22)、『零落』(23)など。青森県津軽で撮影された横浜聡子監督の話題作『いとみち』(21)では出演のほか、方言指導も担当。
清野りな Rina Seino
1995年生まれ、福島県出身。
2016年、ロッキング・オンが主催する「RO69JACK 2016 for ROCK IN JAPAN FESTIVAL」で入賞。以降、女優に転身。近年の主な出演作は、ドラマではHulu『THE 重大事件』(22)、CF ・広告では Honda(22)、三菱地所(メイン)(22) 、REISM 株式会社(22)、サントリー オールフリー(22) 、伊予銀行(22)など。
田川恵美子 Emiko Tagawa
女優、モデルとして、映画、TVドラマ、CMに出演。
2011年、埼玉県の魅力をPRする県の映像プロジェクトによる石川慶監督の短編映画『群青』のヒロインを務める。主な出演作は、映画『恋人たち』(15)、『流れ星が消えないうちに』(15)、ドラマではBSNHKプレミアム「我が家の問題」(18)など。ハウス食品CM「食品ロス対策/3種のお肉カレー篇」では、夫婦で出演。
長谷川葉月 Hazuki Hasegawa
東京都出身。
武蔵野朗読会主宰。殺陣を久世浩氏(久世七曜会)に師事し、映画、TV、舞台に出演。01年より、舞台朗読を中心に様々な声の活動に携わる。老人ホームでの昔話の朗読や紙芝居、内閣府「令和2年版 障害者白書」の音読など。19年、22年には吉祥寺シアターにて単独朗読公演。現在、日本新劇俳優協会会員、NPO 現代座正会員、日本朗読文化協会会員。演劇、朗読出演、朗読講師として活躍中。09年、日本画で「第62回 勤労者美術展」東京都知事賞受賞。
畠山智行 Tomoyuki Hatakeyama
1965年生まれ、青森県出身。
舞台・ミュージカル俳優として活躍する一方で、津軽弁で歌うシンガーソングライターとしても活動。主な出演作は「ハムレット」(日生劇場)、「マクベス」(東京藝術劇場)、「リア王」(グローブ座)、「トラブルショー」(ミュージカル座)など多数出演。15年、アルバム「『津軽魂』~青い森~」をリリース。20年、大林宣彦監督の遺作となった『海辺の映画館―キネマの玉手箱』に出演。
平山りの Rino Hirayama
1997年生まれ、宮城県出身。
映画、TVドラマ、舞台に出演。近年の主な出演作は、ドラマNHK夜ドラ「古見さんは、コミュ症です。」(21)、「スタンドUPスタート」(23/CX)など。ほか、シンガーソングライター・みきなつみ「こんなやつに振られるとか」MVに出演。本年は舞台「目にすることなき風景」に出演予定、映画『さかさまのくに』、『愛のこむらがえり』の公開が控えている。
舟木 幸 Sachi Funaki
1968年生まれ、東京都出身。
1992年、TBS系ドラマ「いのちの現場から」でデビュー後、TVドラマを中心に映画、CMなどに出演。近年の主な出演作は、「純愛ディソナンス」(22/CX)、「女神の教室~リーガル青春白書~」(23/CX)、「警視庁アウトサイダー」(23/EX)、「僕らのミクロな終末」(23/ABC)。映画では『任侠学園』(19)、『終わりが始まり』(22)。ほか、ニベアクリームCM「ずっとまもりたい篇」など。
辺見和行 Kazuyuki Henmi
1991年生まれ、東京都出身。
コメディ演劇集団「東京AZARASHI団」メンバーとして、舞台を中心にCM、ドラマ、映画にて活躍。主な出演作は、映画『Hide Behind』(17)、ドラマ「名探偵コナン~工藤新一への挑戦状」(11/日本テレビ)、「リッチマン、プアウーマン」(12/CX)、「ナサケの女Special~国税局査察官~」(12/EX)など。
松本晃実 Akimi Matsumoto
映画、舞台、TVドラマに多数出演。近年の主な出演作は、ドラマ「競争の番人」(22/フジテレビ)、NHK特集ドラマ「アイドル」(22)など。現在、「東京剣舞会エッジー志伝流ー」メンバーとして殺陣・日本舞踊パフォーマンスを行い、国内外問わず各地のステージに出演している。昨年は、武楽『神曲修羅六道』( IHIステージアラウンド東京)公演に夜叉役で出演、在スイス日本国大使館およびベリンツォーナ「Japan Matsuri」では演舞を披露。
宮﨑優里 Yuuri Miyazaki
東京都出身。主に小劇場を中心に俳優活動をスタート。
11年に即興演劇に出会い、現在は「インプロシアターTILT」のメンバーとしても活動。15年からは、「つるかめ企画」という女優二人の芝居ユニットも組んでいる。主な出演舞台は、川村毅作・演出「新宿八犬伝 第五巻」(10)、世田谷シルク「春夏秋冬」(22)。CMでは、セブン&アイグループ「セブンプレミアム」、Google Youtube Works Award 2021,2022など。
八代真央 Mao Yashiro
1996年生まれ、福島県出身。
制作から俳優に転向。20年、入江悠監督の自主映画『シュシュシュの娘』(21)の撮影に参加。俳優を志してから初めての作品となる。以降、短編映画『記録から』(21)、芝居コントユニット(仮)vol.001「starUng!」(22)などに出演。ほか、企業CMのナレーション(ナカノ製薬 branding movie等)も担当。
山口 改 Kai Yamaguchi
1989年生まれ、静岡県出身。
俳優活動と自主映画制作を行う。主な出演作は『シュアリー・サムデイ』(10)、『イン・ザ・ヒーロー』(14)、『窮鼠はチーズの夢を見る』(20)など。自主映画監督作品の『バイアス』(21)では、神戸インディペンデント映画祭、ハンブルグ日本映画祭等へ入選。国内外で評価を得る。また『悪徳警官ジャスティス』(22)は、やお80映画祭入選。本作では、自身のシーン以外の撮影にも参加。
吉岡そんれい Yoshioka Sonrei
1974年生まれ。
02年から小劇場で活動を始め、11年に魏徳聖監督の『セデック・バレ』で映画初出演。以降も舞台・ドラマ・映画・MV・ナレーションと幅広く活躍。主な出演作品に、『KANO 1931 海の向こうの甲子園』(14)、『あいが、そいで、こい』(18)、『喝 風太郎‼』(19)、『お別れの歌』(22)、『ぬけろ、メビウス‼』(23)など。本年は初の長編主演映画2本が公開予定。
声の出演
松本まりか Marika Matsumoto
1984年生まれ、東京都出身。
2000年ドラマ「六番目の小夜子」(NHK)で俳優デビュー。
18年ドラマ「ホリデイラブ」(テレビ朝日系)で注目を集める。
近年の主な出演作は、映画では『雨に叫べば』(21)、MIRRORLIAR FILMS Season2『The Little Star』(22)、『極主夫道 ザ・シネマ』(22)、『妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-』(22)、『ぜんぶ、ボクのせい』(22)、『夜、鳥たちが啼く』(22)など。『アイスクリームフィーバー』が公開待機中。ドラマでは「名探偵ステイホームズ」(22/日本テレビ系)、「最高のオバハン中島ハルコ」(22/東海テレビ)など。 現在放送中のNHK大河ドラマ「どうする家康」では、服部半蔵に仕える妖艶な忍者・女大鼠役で出演中。
松本まりかさん COMMENT
三島監督のオーダーは「地球の泣き声が欲しい」でした。次元が違いました。
もう私は空っぽになるしかないと思いました。
空っぽのこの身体を預けて、三島監督の求める声まで連れて行ってもらう。
最初に私が発した個人的なひとりの女の泣き声から、地球の泣き声というものに至るまでを三島監督の発するその優しく深く温かく鋭い声(演出)だけに集中する。
あの時その声だけが私の世界でした。情報に溢れ、何が正しく何を信じればいいのかわからなくなるこの世の中で、何より演技をする上で、この体験が教えてくれたものは計り知れない。
著名人からのコメントが
到着しました(順不同)
コロナが際立たせたのは人がどれくらい孤独かということ、家族がいても別の仕方でやはり孤独だということだった。映画を観ながら、人はどうやって孤独と折り合うのだろうということばかり考えていた。
内田樹(神戸女学院大学名誉教授・凱風館館長)自分でもびっくりするくらい泣いてしまった。
会いたくて、でももう会えない人の姿をスクリーンの中に見つけたような気がしてしまったのだ。
大変だったね。辛かったねわたしたち。
出演者たちを、そしてあの頃のわたしを、まとめて全員抱きしめてあげたい。
もう遠ざかっている、あの時の緊迫感や心細さが記録されている。
再現したり、記録し直すことのできない感情と向き合う時間だった。
あらゆる孤独な判断が無数にあった。
その判断を写すために、監督と役者が話し合った創作の軌跡も、この映画には残されていた。
一人ではなかった時間が渦中にあったことも、思い出させてくれた。
役者という、不安定な生活を対価に、やりたいことを追い求める人たちが、得体の知れない病の蔓延により活動を奪われ、漠然とした不安に押しつぶされそうになる。三島有紀子監督は、彼らに、壊れた日常をスマホなどで自由に撮らせるが、それは自身を見つめ直す機会となり、彼らの哀しみが痛切に伝わる。三島の役者たちを見つめる視線はドキュメンタリー、劇映画の境界を超え「幼な子われらに生まれ」の家族像にも通じる。同時に、2020年4月という特別な時間を我々の記憶に刻み込んだ。
掛尾良夫(田辺・弁慶映画祭プログラミング・ディレクター)2020年4月―
この世界から自分だけが取り残されてしまったような不安。
深い森に迷い込んだような終わりの見えない日々。
そんな時間の中で人々は、焦り、泣き、叫び、走り、踊る。
誰もいない街。閉ざされた映画館。マスクとアルコール消毒。社会的距離。
飼い猫に国政を憂いながら、それでも私たちは映画の力を信じている。
【三島有紀子監督インタビュー】
本作が生まれた経緯を教えて下さい。
緊急事態宣言下で2020年5月にクランクイン予定だった撮影が延期になり、やがて中止になってしまいました。そういったなかで自分が立っている場所の断層がズレている感覚に見舞われたんです。いま私が立っているのかもわからないし、どの世界に生きているかもわからない。さまよっているような感覚で、少しでも違う場所で毎日を過ごしたいと思い、自宅のベランダにテーブルを置いて仕事を出来る空間を作りました。ちょうど自分の誕生日(4月22日)、眠れずにベランダで過ごしていたのですが、朝4時くらいに女の人の泣き声が聞こえてきたんです。
私の体感としては10分くらいでしょうか。それを聴いているうちに、すごくつらい思いをしているこの世界の一個人の泣き声ではなく、ここに生きている人たちみんな、或いは自分、さらには地球の泣き声なのではないかと感じ始めました。そのときふと、私が今までしてきたことは誰かの感情に客観的に寄り添うことだったのではないかと気づいたんです。NHK時代に作っていたドキュメンタリーはまさにそうでしたし、劇映画でも現場では役者さんではなく役名で呼ぶようにしていて、その人の肉体に生まれる感情を大切に撮ってきました。そういった経緯で「自分が知っている周囲の人はいまどんな思いで暮らしているのか」と考えて、ワークショップなどで出会った役者のみなさんに「こういう記録を残そうと思っているんだけど、いま何を感じていますか」とリモートで声をかけたのが始まりです。
役者陣の反応はいかがでしたか?
皆さんたくさんお話をしてくださって、その中で「もうちょっと深く話を聞いてみたい」という方たちと「じゃあどういうところを撮っていこうか」と詰めていきました。たとえば舞台挨拶がなくなってしまった大高洋子さんのパートは最初固定カメラで夫婦が映っていたのですが、夫から見た妻の視点のほうが良いんじゃないかと提案したり、方向性や視点を決める役割を私が担いました。
「対象に撮影を任せる」「演出を提案する」という意味ではこれまで撮ってきたドキュメンタリーと全く異なる部分はありますが、こちらからシチュエーションを投げかけてリアクションを撮るという意味では同じです。だからこそ、どういうものが出てくるかは未知数でしたね。主婦も担う田川恵美子さんが部屋で踊りながら叫ぶシーンなどは、完全に予想外でした。
各々機材も異なるため、編集は大変だったのではないでしょうか。
山口改くんは自分で映画も撮るから性能のいいカメラとマイクを使っていますが、みんな大体iPhoneでした。とはいえiPhoneにも色々バージョンがありますからね。どう揃えていくかは悩みましたが、撮影部の今井孝博さんと相談して下手に整えてしまうよりそれぞれが置かれた現実をそのまま見せていく形を選びました。
編集はトータルで1ヶ月半くらいはかかりましたね。今回はまず木谷瑞さんと個々人のパートの編集をして、そのあとに加藤ひとみさんと「どう並べていくのか」と全体の編集を行っていきました。たとえば医療従事者のお父さんがいる役者のパートは、木谷さんと「お父さんの留守電に語りかける声をベースに編集しよう」と話して、加藤さんと話しながらこのパートを最後に持ってきたという形です。
本作はいまお話しいただいた「生活の記録」と「泣き声を聞いた各々の反応」という2つのパートで構成されています。泣き声を担当された松本まりかさんについても教えて下さい。
この泣き声をやってもらうとしたら松本さんしかいないだろう、きっと彼女だったらこの趣旨を理解してくれるはずと思いお願いしました。「誰かの声ではなくみんなの声で、そこには様々な感情があるはず。単に悲しいだけではなく悔しい人もいるだろうし、肉親を亡くした人や仕事がなくなった人、会いたい人に会えない人、政府のやり方に対する怒りを持っている人……そうした多様な感情がプロセスの中で見えてきてほしい。そして、その泣き声を聞いたときにみんなから何が生まれるかを引き出したい」というお話をしましたね。
それを聞いた松本さんが「寝転びながらやっていいですか」と提案してくれて、地面に這いつくばりながら慟哭に近い悲しみや怒り、誰かが横にいてくれた時の泣き方までの長いプロセスを見事にやって下さいました。カットをかけた後も松本さんが戻ってこられず、背中をさすった覚えがあります。
それを踏まえて、役者陣には「この泣き声を聞いたときの反応を基本的には一発撮りでお願いします」と伝えて、撮ってもらいました。
改めて、2020年4月のコロナ初期段階でもう映画づくりに動いた三島監督のアクションの早さが驚きです。
何か崇高な目的があったというわけではなく、自分の弱さゆえだと思います。コロナ禍というなんだかよくわからないものに差し掛かって、それを得体のしれないままにした方が恐怖じゃないですか。実態は未だにわからないけど我々人間に何が起こっているのかはわかるから、それを知っておきたいという気持ちでした。
言葉は悪いのですが、映画のなかでも映し出されているような、例えば「チーズを作って頑張って毎日楽しもう」という姿って、どこか滑稽な姿だと思います。でもあの頃、私たちの多くは滑稽でしたよね。その弱さや滑稽さも含めて愛おしく、人間の全部を見ていたいという感覚でした。あと、背中を押された作品でいうとジャ・ジャンクー監督の短編映画『来訪』があります。
コロナをテーマにした作品ですね。ちょうど2020年の4月に発表されました。
その中で、映画制作の打ち合わせをする男性2人が、裸の肉体がぶつかり合う映像を観るシーンがありますよね。「撮っておかないと忘れ去られてしまうのだ」というような感覚にもなりましたし、撮らねばならないという気持ちにしてくれました。今、出来ることはなにか、そう考えたときに行きついたのが本作の方法でした。腹をくくるという気持ち含めて、コロナ後の映画づくりが変わったように思います。
「文化芸術は不要不急である」という主張に対する反発も、当時は強くありました。
誤解を恐れずいうと私は「絶対に不要不急じゃない」と言い切れます。というのも、神戸の震災(阪神淡路大震災)を取材した経験からです。最初は当然、寝るところ・食べるところ・排泄するところがまず必要になります。でもその次に必要になるのは、文化芸術なんですよね。人生を破壊されたと思っている人々にとって、気分を明るくしてくれる落語や映画、演劇に小説に音楽――そういったものがないと本当に生きていけないということを目の当たりにしました。生きることは楽しむことなんだと肉体に気づかせてくれる、心の命綱みたいなものなんですよね。文化芸術に触れた瞬間、避難所にいる皆さんの表情が目に見えて変わりましたから。
『東京組曲2020』は、5月13日に公開されます。奇しくもその週初め5月8日「感染症法上の位置づけが「5類」に移行、入場時の検温等、感染対策は事業者の自主的な判断が基本」となりますね。
結局真相は藪の中で、より「コロナって何だったんだろう」と思う気持ちが強まってしまうかもしれませんが、コロナが登場して世界がどう動いて人間がどう右往左往したのか、そこに一つの幕が下りるように思います。
短編『よろこびのうた』『IMPERIAL大阪堂島出入橋』含めて今作3本において、「コロナを描きたい」というよりもコロナによって生まれた「人間って何だろう」という一部が少しでも見えたらいいなという想いで作りました。自分にとって人間研究の意味合いが大きいです。その考え自体は原作ものであろうがオリジナル作品であろうが変わっていなくて、どんな作品でも「自分自身がこの期間に考えていること」を入れ込もうとしてきました。そういった意味では、本作も人生のある一定期間の思考を描いた表現かと思います。
出演者も観客も、皆が当事者であるという意味で特殊な作品になりましたね。
本当にそうですよね。観に来てくださる方全員と話したいくらいの気持ちです。
「会いたい」「触りたい」といった、あのときに強烈に感じた欲求がいまはもうほぼできるようになっていますよね。でもじゃあ、今、我々は意識的にそれができているのか。そのことを問い直すと言ったら偉そうですが、ちょっと心に留めてもらえたらと思います。
(聞き手:SYO)
Cast & Staff
[出演]
荒野哲朗, 池田良, 大高洋子, 長田真英,
加茂美穂子, 小西貴大, 小松広季, 佐々木史帆,
清野りな, 田川恵美子, 長谷川葉月,
畠山智行, 平山りの, 舟木幸, 辺見和行, 松本晃実,
宮﨑優里, 八代真央, 山口改, 吉岡そんれい
(五十音順)
松本まりか(声の出演)
[スタッフ]
監督:三島有紀子/音楽:田中拓人/
撮影:出演者たち, 今井孝博(JSC), 山口改/
編集:加藤ひとみ, 木谷瑞/調音:浦田和治/録音:前田一穂/音響効果:大塚智子/
タイトルデザイン:オザワミカ
配給:オムロ
製作:テアトル・ド・ポッシュ
2023/日本/ドキュメンタリー/カラー/
95分/アメリカン・ビスタ/5.1ch